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一席お付き合いを願います。

落語をやる時は着物を着ます。
なぜに?
「だって江戸時代の話だから、でしょ?」
まぁそれもないことはないけれど……
例えば、男の落語家がスーツを着て落語をやればどうでしょう?
また、女性の落語家がワンピースを着てたらどうでしょう?
ビシッとスーツを着てたんじゃ「おかみさん」「花魁」には見えません。
ワンピースを着てたら「八っつあん」「ご隠居さん」「棟梁」には見えません。
でも、
着物だったら、男女どちらにも見える、男女どちらにもなれるんですねぇ。
着物と洋服が違うのは、男女の別があまりない衣類。ということです。
合わせは同じだし、形も殆んど同じですからね。男も女も帯締めるし。

だから、黒とか青とか男性的な色の着物を着ていても、落語家がちょっとシナを作れば女に見える。
女性の落語家がピンクの着物を着ていても、背すじを伸ばして勢いよく「ってやんでぃこの野郎!」と啖呵を切れば棟梁に見える!
これが着物の良いところでありますな(落語の上では、です。着物の良さはもっと沢山あります)
要は先日書いた扇子と同じ。お客さんが想像しやすくなるのが一番の理由。

でも不思議なのは、女性は着物を着るとみんな色っぽくなります。→それなのに棟梁になれる。
男性は着物を着るとみんな男らしく堂々と見える。→それなのに「おかみさん」になれる。
これは不思議ですねぇ。
私は見た目が「堅い」ので女性の出てくる噺はやや苦手。
それを克服すべく、ただ今「風呂敷」という噺を稽古中です。
4月30日は、あの風貌の桂宮治さんが どんな女性を演じるのか、早く見たいもんですなぁ。

お後が宜しいようで。どどん。
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高座扇
一席お付きあいを願います。
噺家が高座で使う道具と言えば扇子と手拭いの二つだけ。
実にシンプルな芸ですな。
能、狂言、歌舞伎、演劇、バレエ、オペラ……いろんな芸能と比べてみても、こんなに道具を使わないのは珍しい。
ひとりの漫談とスタンダップコメディよりは多いけど……

さて、その道具のひとつ「扇子」
写真の通り絵も柄も色も無い真白の「高座扇」です。
普通の扇子より骨太でしっかりしてる分、ちょっと開きにくい。
高座扇はなぜに真白なのか?
これはあれですな。
落語では扇子はいろんなモノに成り変わります。
ある時は箸、ある時はキセル、またある時は筆、刀、天秤棒、算盤、六尺棒、徳利、えーとえーと(^^;
まぁそんな風にいろんなモノに成り変わる時に、扇子に絵や色や柄が書いてあっては、お客様の想像の邪魔をしてしまう。いろんなモノに見えにくくなってしまう訳ですね。
で、高座扇てのは真白なわけです。

落語を聴くのは読書と似ています。想像できるかできないか。
噺家の側から言えば、お客様に自然に噺の世界に入っていただけるかどうか。
そういう意味で扇子はとても大事な役目を背負っているのでありマウス
一席お付きあいを願います。
落語ってのは着物を着て座布団の上に座ってやるもんでございます。
まぁそんなもん当たり前じゃねーか、下らねぇこと言うんじゃねーよ!なんてことを思われるかもしれませんが、近頃は「落語家が5,6人並んで座布団の取り合いをする」のが落語だと思いこんでいるお子さまも多く、「いやいやそうじゃないんですよ」とそこから解説したりなんかする高座もありまして。

でー、1枚の座布団に正座して噺をするわけですが、この座布団には正面がございます。「顔」があるんでございますな。
座布団ってのは綿を入れて三方が縫い合わせてある。
で、縫い目の無い一辺が正面。
これをお客様の方へ向けまして「お客様とのご縁に切れ目がございませんように」と願う訳ですね。
なんだか下らないシャレみたいですが、実はこれは落語に限ったことではございませんで、
皆様のお宅にお客様がお見えになられた時もこうするのが正しい作法。
「作法」なんて今はめんどくさいモノかもしれませんし、重視される世の中ではございませんが、こういうのは知ってると知らないじゃ心の中が大違い、という気がいたしますね。
「なんとなく」ですが、いいもんですよ。

この「落語つれづれ」ではそんなことやこんなことを ひねもす書き綴って参ります。
お後が宜しいようでm(__)m
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